このページではマンション大規模修繕における費用相場とその費用を決定する見積書のチェックポイントを紹介します。少しでも安く質の高い大規模修繕を行うために、かならずチェックしておきましょう。
見積もりを出してもらうときに注意すべき点など、費用にまつわるすべてを解説していきます。
まずは大規模修繕における費用相場に関してです。
国土交通省統計データをもとに毎月の修繕積立金をご紹介します。
戸当たりの毎月の修繕積立金の平均は10,783円です。
年度 | 平成15年度 | 平成20年度 | 平成25年度 |
---|---|---|---|
修繕積立金 |
9,066円 |
10,898円 |
10,783円 |
駐車場使用料からの充当額を含む修繕積立金 |
10,967円 |
11,877円 | 11,800円 |
(引用元:国土交通省統計データ)
費用に関しましては、修繕箇所や内容にもよるので一概には言えませんが、多くの場合戸数×100万円と考えておけば問題ありません。
2回目や3回目の大規模修繕ですと様々な箇所に劣化が見られますので、費用が上がります。
給水管や排水管など水まわりの設備他、エレベーターなどの修繕も必要となります。
そのため戸数×150万を見ておけばいいでしょう。
大規模修繕を行う際に必要になってくる知識や手順はマンションの規模にかかわらず、おおよそ決まっております。
修繕の流れは下記になります。
この流れで工事が進められていくケースがほとんどです。
見積もりを取る際に、あらかじめどういった工事をしていくのか、それにいくらの費用がかかるのかを
知っておくことで納得行く見積もりにできるでしょう。
基本的な修繕箇所の内容と費用相場を紹介していきますので、基礎知識として覚えておいてください。
外壁は大規模修繕の代表的な工事箇所になります。洗浄や下地補修をした後に塗装が行われ、躯体保護以外に外観イメージを変える効果があります。
マンションの外壁はほとんどの場合、吹付けタイルかタイル貼りのどちらかのタイプに分けられます。
吹付けタイルは汚れが目立ちやすくひび割れなども発生するので、定期的な補修と塗り替えが必要です。タイル貼りはタイルの浮きや剥がれをチェックする必要がありますが基本的にメンテナンスフリーです。
また大規模修繕時には塗り替えだけでなく目地シーリングの打ち直しも重要な修繕ポイントになります。
【費用相場】
タイル洗浄:510円/平方メートル
ひび割れ補修:1,710円/メートル
吹付けタイル塗装:1,830円/平方メートル
鉄部とはマンションの設備の中で鉄が使用されている箇所で、錆が発生しやすいので5年に1回は修繕が必要とされています。
手すりなど人の手が触れやすい場所は傷みやすく、場合によっては1~2年で補修しなければならないケースもあります。大規模修繕時だけでなく常に注意して対処しておかないと寿命が縮まって即交換という可能性もあります。
修繕は錆を除去した後に、錆止めを塗り、その上から中塗り、上塗り(仕上げ塗り)と進められます。
外壁塗装とともに鉄部塗装は大規模修繕の必須項目と考えてよいでしょう。
【費用相場】
階段手すり補修:1,550円/メートル
玄関ドア枠:3,910円/戸
避難ハッチ:3,060円/台
大規模修繕工事の最後の工程で行われるのが防水工事で、対象箇所は屋上とバルコニーです。
屋上は常に風雨にさらされており、日差しによる紫外線の影響もあって劣化しやすいため大規模修繕では外せない工事の一つです。
アスファルト防水がよく使用されている工法で、耐久性に優れているのが特徴ですがそれでも15~25年に1度は防水工事のやり直しが必要になります。築年数が古いマンションの場合は12~15年が目安となります。
バルコニーはウレタン塗膜防水がよく用いられます。大規模修繕工事の際は古い防水層を取り除いた上で、新たにウレタン塗膜防水工事を行うことになります。
【費用相場】
アスファルト防水:6,300円/平方メートル
ウレタン塗膜防水:5,900円/平方メートル
マンションの給排水管は大規模修繕の必須項目ではないですが、重要点検箇所の一つです。給水管は塩素の影響で腐食し、排水管は定期的に高圧洗浄を行なっていても徐々に流れが悪くなるからです。
給排水管はその時の状態に応じて、錆や汚れを取り除く更生工事をしたり、寿命を迎えると交換工事が必要になります。
給排水管は配管の種類や材質によって工事を行う時期や方法は異なります。亜鉛メッキ鋼管は15~20年で交換が必要になりますが、硬質ビニルライニング鋼管や架橋ポリエチレン管は30年以上持つと言われています。
事前にどのような材質のものが使用されているか調査して交換時期などを決めておくとよいでしょう。
【費用相場】
給水管更新:3,600円/メートル
排水管更新:6,200円/メートル
揚水ポンプ改修:117,000円/組
エレベーターは頻繁に点検が行われているため大丈夫と考えがちですが、法定耐用年数は17年と定められています。これは税法上の数字なので実際の寿命は20~30年程度と考えたほうがよいでしょう。
大規模修繕工事の必須項目ではありませんが、タイミングが合う場合は同時に行った方が効率的です。なお、エレベーターは製造中止から25年以上経過すると保守部品が供給されなくなりますので注意が必要です。
【費用相場】
エレベーターかご内部改装:10,100円/平方メートル
エレベーター扉・三方枠:47,500円/箇所
マンション自体は、50~70年程度は強度を保つことができると言われていますが、その寿命まで維持するためには、3~4回程度の大規模修繕が必要です。1回目の大規模修繕では費用が足りたとしても、2回目以降の修繕費用は1回目よりも劣化が進行することによって高くなる傾向があるようです。そのため想像以上に費用が掛かってしまい、修繕積立金では賄いきれないケースも。とくに新築当初は購入してもらうために修繕積立金などの管理費を低めに設定している場合もあります。本来は数年後に管理費などを値上げしなければいけませんが、それを決定するのは住民の意思。倍以上の値上げに納得できなければ、修繕積立金は予定よりも蓄えることができません。その結果、積立金不足に陥ってしまうことも良くあるそうです。
ここでは修繕積立金が足りなくなった場合の対処法を紹介します。
根本的な解決をするためには、積立金を値上げするのが一番。ただ毎月の負担が多くなれば、住民から反対される可能性はありますし、さらにマンションの大規模修繕まで日時に余裕があるケースでないと、十分に蓄えられないため意味がありません。この方法が出来るのは、ある程度修繕までに余裕がある限られたマンションに限ります。
また積立金ではなく、一時金を徴収する方法もあります。一時金であれば、毎月の費用は抑えられ、さらに修繕の日程が近づいているマンションでも問題はありません。ただし毎月少しずつ蓄えるものとは異なるため、高額になってしまう可能性があり、住民から反対されることも考えられます。仮に議決されたとしても、十分に徴収できないリスクも考えていた方が良いかもしれません。
実は管理費の大部分を占めるのは、管理会社への管理委託費と呼ばれる費用です。この費用を削減できれば、修繕費に回せるお金がアップできます。
管理会社にとっては利益を守るために、管理委託費の値下げ交渉には乗ってきませんが、他の管理会社と競争させることによって、値下げが実現できることも。
ただし極端に安値の管理会社への委託はきちんと管理されない可能性もありますので、注意が必要です。もし悪徳管理会社を選んでしまった場合、管理不足でマンションの価値が下がってしまう恐れもあるため注意してください。
きちんとマンション管理を適正な価格で行ってくれる業者を見つけるようにしましょう。
マンション管理の中には、様々な契約がされています。電気代やメンテナンス代など徹底的に見直してみましょう。
電子ブレーカーとは契約電力の基本料金を下げる仕組みのことです。この仕組みを導入することによって、簡単に電気料を節約できると言われています。もちろん初期投資には費用が掛かってしまいますが、2~3年程度で償却することができます。平均すると3年目から黒字になるようです。
蛍光灯からLEDに変えるだけでも消費電力を抑えることができます。ただLED対応の照明器具でなければ、導入費用はかなり掛かってしまいますので、いつ頃導入をすすめるかは検討が必要です。
設備をメンテナンスするために業者と何らかの契約を結んでいるはずです。たとえばフルメンテナンスは定期的に設備の交換を行いますが、中には損傷した箇所だけを取り換える契約も。どちらの契約でもメリット・デメリットがありますが、損傷した箇所だけを交換する方法が費用面を抑えられます。
マンションにも入っている保険があります。どこまでの範囲の保険に入っているのか確認しましょう。ただ万が一に備えるためのものですので安易に削減せずに、よく検討してから見直すようにしてください。
どうしても修繕費が不足する場合には、大規模修繕を先送りにするしかありません。ただ、この方法はかなりの悪手。先延ばしをしている間にもマンションの劣化は進んでしまいますので、修繕する際に余計に費用が上乗せされる恐れがあります。また何よりもメンテナンスを怠ることで安全性を脅かすことに繋がりますので、先送りにする方法を取らないために対策を行ってください。
修繕コストの中で、大きな割合を占めているのが機械式の駐車場です。ですから、修繕費が不足するのであれば、一部機械式駐車場を削るという対策もあります。
または駐車場自体の値上げに踏み切る方法もあります。機械式駐車場を維持するための費用をしっかり請求することで、大規模修繕費用の不足を防ぐことができるのではないでしょうか?
本来修繕時に使うお金は毎月、修繕積立金として区分所有者からいただいています。
しかし足りなくなってしまった場合、一時金を追加で徴収するというのが一つ目の対策方法です。
金額が多い場合は区分所有者から簡単に徴収できるものではないので、管理組合が金融機関から借り入れるケースが多いです。
その後毎月の修繕積立金を増やし返済していくことが考えられます。
管理組合総会の決議で決めることができますので、足りないとわかった時点で対応しましょう。
前述した民間の金融機関の他に独立法人住宅金融支援機構から融資を受けることもできます。
地方公共団体は、前述の独立法人住宅金融支援機構と連動し、県や市区町村によって補助制度が設けられているケースもあります。
こちらは直接問い合わせて聞いてみるのが早いです。しかしどのケースでも管理組合総会での決議が必要になってきます。
より詳しい事については、下記の関連記事をご参照ください。
関連記事:今の修繕積立金だけで大丈夫?修繕積立金が足りない場合
マンションの大規模修繕にかかる費用は想像していたよりも高く見積もられます。
その費用をできるだけ安くする方法は2つあります。
大規模修繕は特別な知識をもっている人でなければよくわからず、どこに依頼をすればいいかもわからないと思います。
また自分だけでなくマンションの住人全員の生活に関係してきますので、慎重になるでしょう。
大規模修繕の工事は元請けの会社の他さらに下請けなど複数の専門業者が関与しますので、管理組合にまかせてしまうケースが多いです。
しかし管理組合は、工事の元請けになる際に中間手数料などで利益を得るように動く事が問題視されています。
さらに大規模修繕の感覚は10年から15年とされていますが、次の工事までの期間を短く設定しまた多くの利益を得ようとコントロールされてしまうことも少なくありません。
よって管理会社に任せっきりにしてしまうと高くなるため、管理組合主導で、適切な会社に委託することが安くするための秘訣です。
大規模修繕は殆どの人が素人のため、大規模修繕業者に相談するのは普通のことですので管理会社に任せっきりにするのではなく、管理組合の方でも見積もりを出すなどで比較することが一番いいでしょう。
大規模修繕には施工方法が2つあります。足場を組み修繕にあたる方法と屋上からロープでぶら下がり空中で作業を行う方法です。
費用に関して言えばブランコ工法が足場の費用がかからないためコストが低いとされています。
そこでブランコ工法のメリットデメリットを解説していきます。
メリットの一番としてあげられるのは低コストでしょう。
前述しましたが足場を組むことがないためその分費用が抑えられます。
具体的な費用に関しては業者により違います。
足場がかけられると侵入などのリスクが増えます。
そういった面から防犯上いいと言われております。
しかしブランコ工法ではない会社もこの防犯面に力を入れているところも多く
24時間監視カメラや入り口の施錠などでたいさくをしています。
養生シートによって太陽の光が遮られてしまうため、圧迫感を感じストレスと感じてしまうケースがあります。
足場がないため、職人以外の方が間近で見ることができません。
またチェックは地上からのチェックのみになってしまうためやや不安が残るでしょう。
工事内容によっては問題ありません。そもそも重い荷物や強い力を必要としないのであればデメリットではないのですが、これらの理由により工事内容が変更になってしまう可能性もあります。
資材落下事故のリスクに関しては、足場を組む修繕でも同じですが、外側に養生シートを張っている分リスクは少ないです。
比べてブランコ工法の場合はそういった予防がないためリスクは高いといえるでしょう。
共通して言えることは工事の質に関することです。
大規模修繕は「質が高くかつ安い」というのが理想だとおもいます。
修繕後のチェックができないためその質の部分に不安が残ります。
手を抜くということはないですが、保証されている最低限度だけではなく
少しでも質の高い成果を望まれているのであれば大きなデメリットと言えます。
マンション大規模修繕の工事業者をある程度絞り込むことができたら見積もりを依頼します。見積もりが上がってきたら以下の点に注意して最終的にどこにお願いするかを決定します。
信頼できる工事業者を見つけるためには相見積もりを取ることが鉄則です。あまり数が多くなり過ぎるのもよくないですので、6~10社くらいに絞っておきましょう。
見積もりを依頼する際にはできるだけ項目を統一すると比較しやすくなります。それが難しい場合は提出された見積書の項目別比較一覧表を作成し各項目の内容、単価、金額などをチェックします。
もし◯◯工事一式というような曖昧な表現がある場合は、きちんと内訳を説明してもらうことが必要です。口頭ではなく必ず書面で残るようにしておくとよいでしょう。
金額を比較するとだいたい2割~4割くらいの差がでます。工事単価が同じでも諸経費が高い場合があり総額が違ってきますので詳細部分まで確認するのがポイントです。
見積書を比較する段階では金額が高い安いだけで判断しないことです。安かろう悪かろうでは依頼しても満足できる仕上がりが得られないからです。
金額以外の比較ポイントの一つに施工実績があります。同じように見えても各工事業者は得意とするマンションの種類が違います。それを知るためには施工内容や実績を見るのが一番です。
大規模修繕を依頼するマンションと同じ規模の物件の施工実績が多ければ、それだけ経験・ノウハウが蓄積されている証拠ですので一定の信頼を置いてもよいと考えられます。
見積を依頼する際に施工実績などの資料を一緒にもらうようにしましょう。また、最近ではインターネットの普及に伴い、業者のホームページ上で実績や施工情報を公開しているケースも多くなっていますので、じっくりチェックすることができます。
当サイトで比較して選んだ、規模別でおすすめの業者もあるので、そちらも参考にしてみてください。
見積もり金額や施工内容・実績を吟味して依頼する候補の業者を2~3社に絞りこむことができたら、実際に業者を呼んでプレゼンテーションやヒアリングを行います。
これは見積書だけでは判断できない部分を見極めるために必要なことで、様々な観点から比較して本当にお願いして大丈夫かどうかを判断します。
見積り根拠や修繕計画の概要を確認することはもちろんのこと、工事に対する姿勢や安全管理体制、工事後のアフターサービスの内容など疑問が残ることがないようにしっかりヒアリングすることが大切です。
また、施工管理技士の有資格者の有無や現場代理人のコミュニケーション能力・人柄など、実際に工事を担当する人が信用できるかどうか、任せても安心できるかをチェックします。
できればあらかじめ採点表などを用意しておき、各社の印象が薄れないうちに出席者の間で意見交換をして比較検討することをおすすめします。
ここまでご覧いただき気になるところは、自分のマンションはいくらかかるのかということです。
マンション大規模修繕はマンションごとにより価格が大きく変わります。さらに修繕会社によっても大きく変わります。
ですのでまずは実際に問い合わせをしてみて相見積もりなどを取ることを強くおすすめします。
あなたの行動で質が高くかつ安い修繕工事が行えるようになります。
関連記事:失敗しないマンション修繕業者の選び方